short story
□ripetere
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また、繰り返すのか。
あの時の過ちをーーー…。
◆
「嶺二!これ見てよ!」
目をキラキラと輝かせながら、一つの書類を持って、愛音は僕のところへきた。
「ん〜?どうしたのアイネ?…って、なーにこれ?」
それは、ドラマのオーディションの書類だった。
「これ、一緒に受けようよ嶺二!」
書類を見てみると、丁度受けようか考えていたものだった。
「うん!一緒に受けようアイネ!!…た・だ・し、ぜっっったい負けないよっ☆」
「僕だって負けないから!絶対勝ち取るよ嶺二!…だから、今日からは、心友だけど、ライバルだからね!!」
「おっし!かかってこいやー!!」
……なんて言ってるけど、実際愛音と戦うなんて、それこそ勝ち目の無いようなものだ。
何度か愛音と同じオーディションを受けてはいるが、悉く愛音に役を取られている。
でも、愛音は純粋にオーディションを…いや、演じることを楽しんでいるからこそ、こうやって僕に一緒に受けないかと誘ってくるのだ。
僕にはそれが羨ましくて、
……少し、妬ましかったんだ。