捧げもの

□眠れない夜
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「眠れない……」

時刻は既に十時。子供からすると充分遅い時間だ。
隣にいたハズのトマトクンも、一度寝た間に居なくなってしまっていてマリアローズは一人きりになっていた。

どうしよう。起きてみんなの所に行ってみようか。でも、もう寝てないといけない時間だから、行ったら怒られるかもしれないし。もしかしたら、嫌われてしまうかも。……嫌われるのは、嫌だ。みんなに嫌われたら、僕はまた一人ぼっちになってしまう。一人は怖い。怖くて怖くて、堪らなくなる。
頑張って寝ないと、駄目だよね

仕方なく自分にそう言い聞かせて、マリアローズは目を閉じてみたのだった。





「やっぱり……眠れないよ」

寝ようと頑張って目を閉じるのだが、どうしても寝られなかった。……さらに、この前読んでもらった絵本のが思い出されて余計に怖くなってくる。その絵本では、夜遅くまで起きていた子供がお化けに見つかって連れ去られてしまっていた。

まりあろーずも、早く寝ないと

お化けが出てくることはないと分かっているけど。それでも怖いものは怖いのだ。

みんな……トマトクン。怖いよ

怖くてしょうがなくなってきていた。もうずっとこうやって眠れないような気がする。

もしかして、このまま眠れないのかな?

そう思ったところでついに、マリアローズは怖さに負けた。思いっきって布団からはい出ると、急いでみんなの居るリビングへと走ったのだった。




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