捧げもの
□変わったこと
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最近、変わったことがある。それは……
「マリア、帰るのかい?ダメだヨ女の子が一人歩きなんかしちゃ。特にキミは可愛いんだから危ないったらない」
この通り変態が付き纏ってくるのだ。
「あのさ、なんできみは僕が外に行くたびに現れて付いてくるワケ。堂々とストーカーしないでくれる?超絶迷惑だから」
何度目か分からない苦情を言ってはみるが、やはりこいつに効果はないらしく返ってくるのはお決まりのセリフ。
「恋人を守るのは当然のことだヨ。フフッ、キミを恋人と呼べる日がくるなんて!」
――はぁ、何度この会話を繰り返しただろう。
さすがにもう諦めたくなってきたが、ここで引き下がるワケにはいかない。
「だから僕はきみの恋人になった覚えはないって言ってるだろ!ちなみに好きって言ったのは言葉のあやだから。つまりあれ、嘘。だから忘れて?」
「そんな、マリア。だってあの日永遠の愛を誓いあったじゃないか」
「誰がいつ誓いあったんだよ!妄想を広げるなこの変態」
「ボクたちに決まってるだろ。忘れたフリはよくないヨ?」
これにはマリアローズも本気で呆れた。やばい、マジで頭がおかしいらしい。
「あーもういいよ。きみ本気で頭大丈夫……いやもう大丈夫じゃないから今すぐ治してきてもらったほうがいいよ。まぁ僕的には一回死ぬのをオススメするけどさ。そうだね、うん。だから今すぐ死んで」
これ以上アジアンに付き合ってはられない。というか色んな意味で付き合えない。
そう思ってマリアローズはさっさと立ち去ることにした。
もちろんアジアンが付いてこようとしたが、
「アジアン、付いて来たらきみのこと嫌いになるからね?あとストーカーも好い加減やめないと、だよ?」
絶対堂々とは付いてこれないように釘をさす。
こうしてマリアローズはアジアンの嘆きを背中に聞きながらエルデンの街の人込みの中へと消えていったのだった。