よろづ
□李姫
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絳攸は普段通り、自室で目を覚ました……はずだった。
「ん……おはようございます、絳攸様。今朝もお早いですね」
隣から秀麗の声が聞こえる……隣から?
気付いた瞬間絳攸は大声をだした。
「しゅ、秀麗!?何故お前がここに。しかも俺の隣で寝てるんだ!
――落ち着け自分、これは何かの間違いだ。そうか、ここは俺の部屋じゃなくて邵可様のお屋敷だな!きっと昨日の夜に何かあったんだ。そうだ、そうに違いない」
それでも秀麗が隣で寝てた理由とか色々と説明出来ないこともあるのだが、ひとまずそれは置いておくことにする。
が、絳攸の淡い期待も、次の瞬間に秀麗の一言で崩れ去った。
「何言ってるんですか。確かにここは父様の家ですけど……絳攸様のお部屋でもありますよ?正確に言えば私と絳攸様の部屋です」
「お前と、俺の部屋だと?」
「絳攸様、ひょっとして忘れちゃってます?私達、結婚したんですよ」
それはまさに晴天の霹靂だった。
俺が?いつ結婚を。いやっ、その前に結婚だと!しかも秀麗と――
こうして絳攸は見事に固まった。秀麗が呼んでも体を揺すっても反応することもないほどに。