青い薔薇物語
□五章〜決壊〜
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前の舞台も終わり、今日は次の舞台のオーディションの結果が発表される日だ。
マネージャーである養父、トマトクンによる発表が今、行われようとしている。
「ほな、次の舞台の主要人物の役を発表するで……自分やで、トマトクン。って」
と言っても、その場を取り仕切るのはいつも補助のカタリで、トマトクンは本当に役を発表するだけなのだが。……にしても。いくらなんでも。だからと言って居眠りすることはないと思う。
「ったく!また寝てるのきみは。起きろ!役早く発表しちゃってよ」
カタリが呼び掛けたり揺すっても起きないので、仕方なくマリアローズも起こすのを手伝った。
おかげでまだ眠そうにあくびをする男をなんとか起こすことに成功する。
「ん?なんだ」
「なんだじゃないよ!次の舞台の役、さっさと教えろ馬鹿!」
「あぁ、そういえばそうだったな」
全く、この男は。これでよくマネージャーをやっているものだ。
だが、そのトマトクンから発っせられた次の言葉は、驚きのものだった。
「よかったなマリア。次の舞台、主役はお前だ」
「……はっ?何言って……」
慌てて周りを見渡す。
劇に出ない、審査員となる人達と目が合うと、ユリカやサフィニア、ピンパーネルなど、みんなが笑みを返してきた。
「本当、なの?」
確認にトマトクンを見ると、養父は笑って頷いた。
「あぁ。大丈夫、お前ならできるさ」
こうしてマリアローズが、次の舞台の主役として決まった。