捧げもの
□かっこわりい
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今日もエルデンの町を歩き回りながら、飛燕は物思いにふけっていた。
最っ高にかっこいいこと。それは俺的にやっぱあれだと思うワケよ。そうあれあれ。
よくあるじゃん、好きな奴のピンチに必ず現れるっての、ヒーローっての?それだよ。好きな奴もいることだしさぁ、ユリィのピンチに現れて「飛燕、かっこいいわ!」みたいなことしたいんだよ。ほら、ちょうどユリィいるしさ……ってマジ?あいつらユリィのこと狙ってんじゃん。やべぇよ助けねぇとだよ!っあ、でも待てよ俺。ここでちょこっと待ってピンチの時に助けに行けば俺ヒーローじゃん?超かっこいいんじゃん?ユリィには悪いけどやっぱ男してやってみてぇよな。わりいな、ユリィ。勘弁してくれ――
ユリカに心の中で詫びながら、飛燕はいつでも飛び出せそうな位置に隠れた。その間に糞野郎どもはあっという間にユリカを取り囲んでしまう。
「よお、お譲ちゃん、かわいいな。どうだ、俺達と遊ばないか?」
くそっ、俺のユリィに気安く話しかけるんじゃねぇよ糞野郎が。もう少ししたらボコボコにしてやるからよ、覚悟しとけ!……え、てかユリィ、無視か?無視しちまうのか!?いや、俺的には全然構わねぇんだけどよ、それはさすがにまずいだろって。せめて返事ぐらいしないとやぱいって殺されるって。
しかし、飛燕の心配を余所にユリカは糞野朗共を無視し続ける。そしてついに、中の一人がキレた。
「おい、無視してくれてんじゃねぇよこのかわいこちゃんがよっ!」