薔薇のマリアで17のお題
□15. 世界中で自分だけが今孤独を感じている
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その事件はいつも通り、カタリとマリアローズの言い合いから始まった。
「てゆーか、半魚人。きみはなんでそんなにイジメがいがあるワケ?」
「イジメがい?そんなもんないわっ!!」
「じゃあなんでいつもいつも僕に言い負けるんだよ?」
「そ、それはな……」
「ほーら、言い返せないじゃないか」
「……」
今回ももちろんマリアローズの勝ちに終わるハズだった。
しかし、今日のカタリには秘策がある。
ふふっ、今日のワイは一味違うで!!
「そもそも、わしをそこまでひどく言うマリアも悪いと思わへん?なぁ、サフィニア」
第三者に話しを振る。特にサフィニアならば『いいえ』とは言えないだろう。
――どやっ、完璧や!!
案の定、サフィニアは『いいえ』とは言わなかった……だが『はい』とも言わなかった。
目を反らしたのだ。
まだやっ!!
そのぐらいでめげるカタリではない。次にユリカに話しを振る。
「なぁ、ユリカ?」
しかしユリカも賛成してくれる気はないらしく、小さく首を横に振っている。
「ピンプ?」
……振り返った時にピンパーネルはすでに居なくなっていた。トマトクンの隣に逃げたらしい。
「なぁ、トマトクン!!」
こうなったら最後の賭けだ。ZOOの園長なのだから仲間のカタリに賛成してくれるだろう。この際マリアローズも仲間だという事実は置いておくとして――
「今日もいい天気だな」
「そうだね」
あっさりかわされた。しかも1番ひどい方法、無視で。
「って待てや!!ここはアンダーグラウンドやろ。空見えんちゃうか?……じゃなくて!!わしの質問は?あっ、待ってや!トマトクン」
「あーうるさいうるさい。なんできみ、えら呼吸なのにそんな元気なわけ?えら呼吸なんだから死んじゃえばいいのに。……ってそっか、バカだもんね。バカじゃしょうがないか。バーカ」
「……」
今度こそカタリは言い返すことができなかった。というか言い返す気力も無くなっていた。
→→あとがき