とある科学の万物支配
□第一章 「最強の電撃使い」そして「物質操作」
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今日は、7月も半ば。
夏休み始めの浮わついた雑踏を歩く少年は、足を止めると、不意に頭上を見上げる。
学園都市のビル群のキャンパスに切り取られた、入道雲の浮かぶ空をバックに浮かぶ飛行船を眺める。
側面の巨大なモニターには、今日のニュースが映し出されている。
『(・・・外れない天気予報、か。好きにはなれそうもないな、やはり。)』
そんなことを考えながら、黒い短髪の青年―卯山永史は持っていたペットボトルを捨てるために、手近な自販機をさがそうとして、「―!」立ち止まる。
「ねえ、さっきの子大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、風紀委員も呼んだし!」
こんな会話が聞こえてきたからだ。
『・・・』
永史自身、学園都市の学生による治安維持組織“風紀委員”の一人である。
事件が起きている以上、見て見ぬふりを決め込む訳にはいかない。
話をする男女に近付いていく。
『すみません、風紀委員です。どの辺りで、何がありましたか。』
二人組は突然話しかけられて怪訝そうな顔をしていたが、風紀委員の腕章を見ると納得したのか、男達に絡まれた少女がここから程近くの路地裏に連れ込まれた、と教えてくれた。
『ご協力、感謝します。』
恥ずかしい話、風紀委員は対応が遅い。自分が動くべきだろう。
お礼を言うと、教えてもらった場所に急いだ。