薄桜鬼〜短編〜

□彼との委員会
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【永倉新八!私と付き合って!】




「・・・マジで新ぱっつぁんだったんだ」

「新八さんが相手なのもだけど、晶ちゃんの行動もびっくりだよね、まさか本当にやるなんて」

「おい、新八!呆けてる場合じゃねぇぞ、校内放送で告白されてんの分かってんのか?」

昼休み校内放送で告白をされた男、新八は口元に米粒を付けたまま放心状態
俺はこの先が思いやられた

「校内の物を私用で使うなと言ったはずだが、本当にやったのだな」

「一君、驚くトコそこじゃねぇよ」










〜昨日〜

『ねぇ、左之・・・新八はなんであそこまで鈍感だと思う?けっこう分かりやすくアピールしてると思うんだけど』

「さぁな、昔っから女の事は全くだったからな」

机に頬杖つきながら愚痴を零してんのは新八に惚れてる晶、新八と同じ俺の幼馴染だ
中学に入った頃から新八の事を想ってるんだが、相手が相手だけに中々上手くいってねぇ
高校を卒業しちまったら大学は別々、そうなる前に何とかしたいんだろうが・・・

「どんな風にアピールしてるの、晶ちゃん?」

『・・・』

「まぁ、弁当作ってきたり、登下校一緒だったり、放課後は部活の手伝いしたり、がほぼ毎日だな」

「だから晶さん毎日剣道部来てたのか」

「気付かないのは平助と新八だけだ」

「なんだ、斎藤も気付いてたのか」

「あれだけやれば誰でも気付く」

「平助は気付いてなかったみたいだけどね、あっ!あと新八さんもね」

昔馴染みの総司、平助、斎藤と一緒に新八と晶の仲を取り持ってやろーと集まったはいいが、総司が笑いながら晶をからかい始めやがった。さっき晶が総司の質問に答えなかったのはこうなるのが分かってたからだろーな
しかし、晶は美人な上に面倒見もよくてサバサバした性格から誰にでも好かれてる。こんだけいい女にアピールされてても気づかねぇ新八も大したもんだよな

「ねぇ、晶ちゃんもう告白しちゃえば?」

「だよなぁ、俺もそれがいいと思う。新ぱっつぁんは言わなきゃ気づかねぇよ」

『・・・言ったよ、中学卒業の時に言ったけど「俺も晶の事を好きだぜ」って完全に幼馴染として返されたの』

だから弁当だの手伝いだのして女として意識させようとしてたわけか、晶も苦労してんだな

「じゃあさ、お昼の校内放送で告白すれば?明日は晶ちゃんが当番の日でしょ?」

「それならさすがの新ぱっつぁんも気付くな!」

「校内の物を私用で使うのは許さん」

あいつら3人共真面目に考える気ねぇな、晶も投げやりになってきてるし今日はここまでだな

「晶、そろそろ行かなくていいのか?新八と約束してんだろ?」

『そぉね・・・うん、そろそろ行く』







〜冒頭放課後〜

俺が部室に向かう途中だった、放送室に入ってく新八とその後ろに隠れている出歯亀が4人・・・

「土方さん、あんたまで何やってんだ?教師だろ」

「あの鈍感2人がとうとう決着付くからな、見物に来たんだよ」

そうだ、新八も鈍いが晶も鈍い。弁当も手伝いもそもそもは新八が晶と一緒にいたくて頼んだことだ、つまりあいつらは昔っから相思相愛ってやつだ

【あーあー、ゴホン!晶!昼の返事だ!俺もお前の事がずっと好きだった!けどよ、お前はモテるから釣り合わねぇんじゃねぇか?ってずっと思ってたんだ、女のお前に言わせちまうかっこ悪ぃ男だけどよ、これからも俺の為に弁当作って来てくれ!】

「ついに言ったぜ、新ぱっつぁん!」

「まぁ、女の子に先に言わせたのは本当にかっこ悪いけどね」

「それ以前に校内の物を・・・」

「堅ぇこと言うな、斎藤。やっとまとまったんだ、いーじゃねぇか」

確かに、やっとまとまったぜ
6年間続いた晶の相談役もこれで終わりだ、ついでに俺の初恋もな

振られたコトよりも大事な2人の幼馴染が幸せなコトを喜べて良かったぜ

晶、幸せにな




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