薄桜鬼〜短編〜

□彼との委員会
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「また遅刻か・・・総司、平助、雪村」

「一君、見逃してよ。いつものことなんだからさ」

「いつものこと故、見逃せぬ」

「一君、俺は総司より遅刻してねーから今日は見逃してくれ!土方さんがやべーんだよ!」

「注意を受けるのが嫌なのであれば遅刻をせぬことだ」



ほぼ毎朝、正門で繰り広げられる一と遅刻魔2人の攻防戦
結局は反省室で反省文書かされるんだから最初から諦めて素直に従えばいいのに・・・

「あの、晶さん」

『えっ?あぁ千鶴も平助の道連れで遅刻?』

「はい・・・」

一と平助、総司、千鶴は同じ1年生。私はこの4人と幼馴染だけど2つ年上の3年生
昔は4人をまとめるお姉さん的な存在だったけど、高校生になって少し距離を感じる
そんな事思ってるの私だけなんだろうけど







「あぁ〜あ、一君のせいでまた放課後居残りだよ」

「俺のせいではない、自分達の行いが悪いだけであろう」

「いーよなぁ、千鶴は見逃してもらえて」

「僕の千鶴は可愛いからね、当然だろう」

「南雲、それは違う。雪村は平助の道連れで遅刻をした為、委員長が免除したに過ぎぬ」

反省室にいるのに全く反省してない、しかも南雲君は風紀委員なのに身内贔屓してるし・・・

『文句を言ってないで早く反省文書いて、私達も帰れないんだから』

「晶ちゃんもすっかり風紀委員長だね、昔はもっと可愛かったのに」

「確かに、今の晶さんは恐ぇーよなぁ」

「風紀委員の長として当然の事をしているだけだ」

「じゃあ一君は晶ちゃんの事可愛いと思う?」

「いや、思わない」

『・・・』

「「「・・・」」」

そんなきっぱり言わなくてもいいのに・・・けっこうショックだな
密かに想っていただけに余計ショックだ・・・

『一、私は先に帰るから後よろしくね』








「一君は晶ちゃんの事好きだと思ってたのに違ったんだね?」

「俺も意外だったな、本人の前ではっきり言うなんてよ」

「何故だ?俺は可愛いとは思わないと言っただけだ」

「「それって・・・」」

「俺は晶を愛おしいと思っている」

「君さ、それ本人に早く言わないと勘違いされて嫌われるよ?」

南雲からの意外な助言で慌てて晶を追いかける斎藤




「一君ってさ、昔から晶さんの事好きだったよなぁ」

「そうだね、でも晶ちゃんも一君の事好きだったよ」

「2人ともバカなんじゃないの?僕みたいにいつも気持ちに正直でいればいいのにさ」

南雲に言われるとなんだか癪だが当たっているので何も言えない総司と平助だった
















「晶!待ってくれ!」

げた箱で靴を履き替えてると、一が慌てて走ってきた
いつも冷静な一が慌てるとこなんて初めてみたけど・・・さっき言ったことのいい訳なら聞きたくないなぁ・・・

「晶、先程の事だが俺は・・・だな、その・・・晶の事を好いている!!」

『・・・・へっ?』

「いや、つまり・・・先程の事は誤解だと伝えたかっただけだ」

『あぁ・・・そう?えっと・・・』

言い訳されてるってより、告白されてる?
でも、一は告白してるって自覚してるのかな?
顔真っ赤だし目は真剣だけど・・・誤解を解きたくて「好いている」って一体・・・

『あの、一?つまり・・・』

「つまり・・・そういう事だ!では、俺は風紀委員の仕事に戻る故、気を付けて帰れ」

『・・・せっかくだし、待っててもいい?』

「!?そ、そうか。ではあの者たちに早く反省文を書かせる」

『うん、じゃぁ戻るのも微妙だし、教室で待ってる』

「承知した」

物凄い挙動不審だったけど・・・一からの告白と受け取っていいんだよね?
話の流れがおかしい所もあるけど、いや、それより告白しといて返事も聞かず委員の仕事に戻るって

『・・・一らしい、どんだけ真面目なのよ』

思わず1人で笑ってしまう
戻ってきたら今の一連の流れを色々聞いてみよう、どんな反応するかな



私は履き替えた靴から上履きに履き替え、口元が緩みっぱなしのまま教室に向かった









 

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