薄桜鬼〜短編〜
□彼との委員会
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「やっぱり棒倒しは外せねぇな!」
『父兄から危険だってクレーム来るんだけど』
3ヶ月後にある体育祭に向けて、委員長である左之と副委員長の私は競技について話し合いをしていた
「男に危険はつきものだろ!?怪我にビビってる奴は男じゃねぇな!」
『ビビってるのは父兄だから母親である女もいるけど?』
「なら騎馬戦はどーだ?」
『同じ理由で父兄からクレームが来る』
「なあ?・・・なんかパッとしねぇ競技ばかりにならねぇか?」
『このご時世で血気盛んに競技に励む学校はないよ』
「原田先輩はどうして戦うような競技ばかりやりたがるんですか?」
「男たる者、常に戦いに身を置くもんなんだよ。じゃねぇといざって時に惚れた女を守れねぇからな」
千鶴の質問にウィンクをしながら答える左之、でも怪しい!
さっきから新八や平助が言いそうなことばっかり、もしかしたら3バカでなんか賭けてんのかもしれない
普段は大人な余裕を見せる左之だけど、新八や2つ下で千鶴と同級生の平助とバカな張り合いをする時がある
『誰と張り合ってんの?』
「バカ言うなよ、俺ぁ誰とも張り合ってないぜ?」
いつもと同じ笑顔で言ってるけど動揺してんのがバレてんだよ!
左之は一度隠したら最後まで吐かない。ここは問いただしても無駄だな
競技はどこにでもあるようなものに決まったが、左之の猛烈なリクエストに理事長の近藤さんがなぜか感激し、その近藤さん推薦で男子棒倒しが演目の1つに入った
近藤さんのモットーは「全ては生徒主導!」
その為体育祭の進行は準備は勿論、買い出しまで委員の仕事だ。
『ペンキや装飾用の小道具はネットで探すか』
「いや、今度の休みに店に探しに行こうぜ。実際見なきゃ信用できねぇしな」
「そうですね、郊外まで行けば大きなお店がありますし」
『マジか・・・』
〜某休日〜
今日は買い出しで大きなホームセンターに来ている
「すげぇ数だな〜、こんだけあったら1日じゃ決められねぇな」
「本当ですね、でも今日から3連休ですから大丈夫ですよ」
「おっ!千鶴〜やる気があるな!その意気だ!」
その意気って・・・3日かけてホームセンター回る気じゃないよね?
アウトドアの2人は楽しいそうだけど・・・私はインドアだから休日まで学校のことで出かけたくないんだけどな
2人のテンションに若干引き気味になってる私に
「ほら、晶置いて行くぞ」「晶さん、行きましょう!」
『置いていって頂いて結構です・・・』って言えるものなら言いたかった
結局板やらポールやら買いこみ、自分たちだけじゃ運べなくなって応援という名の運転手を頼むことにした
『RRRRRRRRRRR・・・・あっ、歳兄?・・・うんそう、今暇?・・・いやそれは困るな、軽トラ運転してほしいから今すぐ来て。・・・ふーん・・・梅の花ぁ〜!!!・・・ありがとう♪』
「・・・土方さん何だって?」
『快く運転手を引き受けてくれたよ』
「「((絶対に嘘だ・・・))」」
「晶!!事あるごとに俺を足に使うんじゃねぇ!!」
眉間に皺をこさえながら、後には般若を背負ったイケメンは私の従兄の歳兄
「土方さん、すみません・・・色々買いこんでしまって・・・」
「・・・すまねぇな、土方さん」
『いや、大丈夫だよ。気にするな』
「お前ぇが答えるんじゃねぇよ!!」
『これくらいで文句言うなよ。歳兄が一昨年体育祭で暴れたせいで、父兄からクレームの無いように競技決めるの大変だったんだから』
「・・・・棒倒しと騎馬戦に怪我は付き物だろ」
『だからって相手方ほぼ全員が怪我をするのはおかしいでしょ』
そう、パッとしない競技ばかりになるのはこの歳兄のせいだ
戦国時代なら間違いなく名将になっていたであろう戦略で味方はほぼ無傷、敵はほぼ全滅という圧勝を収めた
女子生徒はその姿に全員心を奪われたとか・・・
「お前ぇだって、カッコよかったって騒いでたじゃねぇか」
『あれは体育委員になる前だったから、それに最近は草食系ばっかりだし〜。男は強くないと全く惹かれないよね』
「・・・・それで今年は棒倒しがあるのか、なぁ?左之?」
「!!!」
ニヤッと笑う歳兄の言ってる意味がよく分からない。
でも隣の左之が動揺したということは・・・
『左之・・・あんた女の子からキャーキャー言われたくてあんなに棒倒し推したのか!?』
「んなっ!!ちげぇよ!!なんでそうなるんだ!?」
「晶さん、今のは私も分かりました・・・」
『えっ!?私分からないんだけど・・・』
「・・・左之、苦労するな」
「覚悟の上だ、あんたには負けねぇぜ?」
『左之、私にも説明して!!』
「あぁ、体育祭が終わったらな」
ちゃんと言ってやる、惚れた女を守るだけの強さを証明してからな