薄桜鬼〜短編〜
□彼との委員会
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薄桜学園3年、生徒会副会長、土方歳三
アイドル顔負けの整った顔に、美しい程の漆黒の髪、甘く低い声は女生徒の心を鷲掴みにする
当然、告白をする生徒が後を絶たない・・・・
わけでもない。
綺麗な顔に似合わず、眉間の皺は深く刻まれてるし、甘く低い声はドスを聞かせれば非常に怖い
だから近寄ってくる子はあまりいない。隠れファンクラブは存在してるけど
ちなみに私は生徒会長です
「晶ちゃん・・・今日も土方さんの頭に角が見えるよ・・・何かあったの?」
生徒会の仕事を手伝ってくれているちづが怯えながら聞いた
『うん・・・実は部費を私用で使ったクラブがあって・・・これから顧問の先生と、その部長と会計から事情を聞くんだけど・・・』
あの剣幕、確実に尋問になる!
鬼の副会長の異名を持つ歳、あの剣幕で迫られたら誰だって頭に角が見えるよね
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「ほ、ホントに反省してます!!だから、だからどうか試合は・・・」
「俺たち、試合目指して練習積んできたんです!」
「土方君・・・俺からも頼む!なんとか今回は多めに見てくれないか?」
「ふざけんじゃねぇ!!てめぇの私欲で部費使い込みやがったくせして試合には出たいだぁ!?寝言は寝て言え!!!」
う〜ん・・・・歳、今日も派手にやってるなぁ。血管切れちゃうぞ?
歳の言い分ももっともだけど、彼らが真面目に練習してるのは知ってるからなぁ、なんとかしてあげたいよ
歳と部員、顧問の話を会長席で聞きながらどうしたものかと考えてると
「男ならてめぇの仕出かした事の責任ぐれぇきっちり取りやがれ!!!!」
おっと、このセリフは問答無用で沙汰を下す時のセリフだ、ここは止め入るか
『歳、初犯だし今回は出場禁止は見送ってあげたら?』
「!!?晶、甘やかすな。この手のヤツは痛い目見ないと同じ事繰り返すんだ!!」
『もちろん、罰はうけてもらうよ。部費の使い込みに対しては、来年の部費50%削減と再犯した場合は問答無用で1年間公式試合の辞退。今回の試合出場に対しては、クラブハウス周りに草むしりと、出入り口の清掃。どお?』
「「「ありがとうございます!」」」
顧問の先生まで敬語になってるし・・・
生徒はもちろん、先生でも歳の剣幕に怯える人は多い。その為助け船を出す私はさも女神のように崇められる・・・
『歳ぃ〜、今日も眉間の皺が一段と深いですな』
「あぁ、くだらねぇ問題起こす奴が多いんだよ!」
『いつも言ってるけど・・・私も手伝うよ?』
「くだらねぇ問題に会長が出張る必要なんざねぇよ。俺が片付ければ済むことだ」
そーやっていつも背負い込むんだよね、ちょっとは頼りにしてくれよ・・・副会長殿
書類整理に勤しんでると、ちづがお茶とお菓子を持ってきてくれたので休憩にすることにした。そこには何故か匡ちゃんまでいる
『匡ちゃん・・・何でいるのかな?』
「あぁ?そりゃ、菓子持った雪村が見えたからに決まってんだろ?」
決まってないよ・・・匡ちゃん・・・
「しっかし、今日も副会長殿の雷は凄かったな」
菓子をつまみ笑いながら匡ちゃんは言った。
『笑い事じゃないよ・・・仕事も詰め込むし、あんなに怒ってたらストレスで倒れないか心配だよ・・・』
「そーいやぁ、あいつ生徒会の雑務はほとんどこなしてんだろ?そんだけ能力があんなら会長職やりゃよかったのに。しかし、あんだけ厳しかったら周りが付いてこねぇか?」
「ちょ、不知火さん!晶ちゃんの前でそんなこと・・・」
『いいよ、ちづ。・・・匡ちゃん、歳は厳しいけど誰よりも学園と生徒を思ってるから厳しくしてるの。人の為に厳しくできる歳は、誰よりも優しい人だよ?』
「・・・・・土方があんたの下に甘んじてる理由がよく分かる気がしたよ。あんたは土方のこと信頼してんだな」
『うん、でも・・・歳には信頼されてないかなぁ・・・なんて・・・』
「えっ!?なんで?晶ちゃんは誰にでも信頼されてるのに・・・」
『う〜ん・・・匡ちゃんの言った通り、歳は一人で仕事片付けちゃうんだ。信頼されてない・・・ってよりも頼られてない?』
そう、歳にはいつも助けられてる。私もできる事はやろーとするんだけど・・・いつも俺がやっておく!って取られるんだよなぁ
一人悶々と考え込んでると、歳が生徒会室に入ってきた
「!!!!・・・・ここは喫茶店じゃねぇぞ、不知火」
「なんで俺だけに言うんだよ!?」
「雪村は仕事を手伝ってくれる、晶は会長だ。ここで茶や菓子を食っててもおかしくねぇ」
そう、私は一応会長だ
『なら、歳ばっかり仕事してないでたまには私を頼ってよ!!』
勢いよく立ちあがって言った私に皆が驚いた
「・・・・急に何の話だ?」
『だって歳、いつも一人で背負い込むじゃない!?だから私を頼って!!』
「男が女頼ってどーするんだよ!?」
『時代錯誤だよ!!今は女も自立する時代!!だから頼って!!』
「本当に、何なんだ急に」
『急じゃない!!ずっと思ってた!!歳に誘われたから入った生徒会だけど、一緒にいたいって邪な気持ちだったけど・・・今はちゃんと仕事に責任だって持ってるし・・・だから私は歳の役に立ちたい!!じゃなきゃ生徒会に入った意味ないよ・・・』
あぁ・・・なんか言ってることがまとまってない気がするし、色々考えてたら頭が混乱してきた
「・・・・告白みてぇだな」
『そうだよ!!私は歳が好きで生徒会に入ったんだよ!!悪い!?』
「「!!!!!!」」
歳とちづが驚いてるが頭が混乱しててそれどころじゃなかった
「まぁ、落ち着け。俺と雪村はここらで退散するから、あとは二人でちゃんと話せよ」
『・・・・・?匡ちゃん、時々大人な対応するね』
ニヤッと不敵な笑みを浮かべた匡ちゃんは顔を真っ赤にしてるちづを連れて部屋を後にした
で、もう一人顔を赤くしてる人・・・
『えぇっと・・・歳?』
「・・・・はぁ、なんで女のお前が先に言うんだよ」
頭にはてなが浮かんだ瞬間、私は歳に抱き締められた。
ん?どーゆーことだ?勢いで告白しちゃったから頭が付いていかないぞ
「呆けてんじゃねぇよ、ったく!俺から言うつもりだったってのに、お前はいつも俺の上をいくな」
『ん〜・・・つまり?』
今だはてながいっぱいの私の顎を掴み、顔を上げた
「俺もお前が好きだっつーことだよ、生徒会に誘った理由もそれだ。悪ぃか?」
笑った歳の顔はアイドル顔負けの破壊力
「好きだぜ晶」
耳元でささやく甘く低い声は脳に衝撃を与える
そして揺れる漆黒の髪が彼の妖艶さを引き立たせる・・・
とんでもない男に捕まったかもしれない
とりあえず、この恥ずかしい状態誰かなんとかして!!