海賊と王女

□第二話
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6月に結婚する花嫁のことを「ジューンブライド」という。
由来は神話に登場するユピテルの妻ユノ(ジュノー)が結婚生活の守護神であることから、6月に結婚式を挙げる花嫁を「6月花嫁(ジューンブライド)」と呼び、この月に結婚すると幸せになれるという言い伝えがあった。

それに因(ちな)んで初代ルフェーブル王が王家の習わしにし、王家の血を引き継ぐ者は6月の満月の日に婚姻を結ぶというしきたりが出来た。

ルチアも例外でなく、6月の6日、満月の日にルフェーブル国軍大元帥グレゴリー・スタンレイの一人息子リヒト・スタンレイとの式を挙げる予定だった。

「ルチア…お前さ…」

リヒトは消え入るような声でしゃべりだす。

ドクン ドクン ドクン ドクン

これでもかというくらい心臓の音が聞こえる。


「結婚のこと迷ってるのか?」

「…え?」

「結婚後は学校にも行けなくなるし、この国の女王として国を治めなければならない。とすれば、お前が自由に行動することもできない。そうだろ?」

「…」

「それでも、お前は俺と結婚するか?」

「……」


ルチアはずっと黙ったままだ。
リヒトの目を見つめ、手を握った。



「…私の話…聞いてくれる?」


 
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