《銀×土》

□今日の終わりを待ってる。
2ページ/2ページ

 
愛してる。
愛されてる。
愛さえあれば、他に贅沢な事は望まなかった。
愛があるのに、俺達は・・・ーー。



土方との関係がギクシャクし始めてから、俺は何度も元に戻そうと努力した。
けど、そもそも理由が無いから、藻掻けば藻掻く程、深みに嵌まる。
土方まで一緒に巻き込んで、もう随分深くまで来てしまった。

いっそ、この足に絡み付いた得体の知れない何かを土方ごと断ち切ってしまえればいいのに、それは出来ない。



土方は常の仏頂面で頷く。

『あぁ』

呆れた様な、真面目に取り合うつもりもない顔で。



今日、いや明日か。
きっと俺が何も言わなくたって、土方は変わらない態度で俺に接するだろう。
今までみたいに、いちいちまともに付き合ってられないって。

それでいい。

『もう騙されちゃくれないのね、土方君』

そうやって抱きしめよう。



「・・・・・・・・・騙されねェよな?」

まさか今更、騙されたりはしないだろう。
俺の考えてる事なんて、土方は全部お見通しの筈だから。

でも、土方も意外に馬鹿な所があるんだ。
そうだよ、本当に土方はそういう所で俺なんかより、ずっと・・・。



万事屋の扉の前で、俺は自分が犯したミスに気付く。
真っ昼間のかぶき町は騒がしく、今日は何処か楽しげに。



愛してる。
愛されてる。

『どうせ嘘なんだろ?』

ーー・・・待ってる。



終わらないエイプリルフール。
疑心暗鬼の華が咲く。

『嘘だよ』

ーー・・・君も待ってる、来ないってわかっていながら。



待っていて、あと少しだけ。



〇今日の終わりを待ってる〇



nora 20140401





⇒あとがき

久しぶりの更新が暗い!悲しい!(笑)

エイプリルフールに限った事ではないけど愛を試すっていう行為は諸刃の剣ですよね。
今回はそのまま別れてしまうっていうエイプリル失敗パターンが一番に浮かんでしまった残念な管理人です。
残念過ぎるので救いもプラスしました(笑)

土方さんが思うより、銀さんは土方さんに関しては勇敢になれる男だといいな。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ