《銀×土》

□笑ってみせて。
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真選組が大好きで大好きで仕方ない。
だから、頑張るのも大好きで大好きで仕方ない。

でも、ちょっぴり辛そうな土方君へ、人生の先輩から有り難いお言葉。

ーー・・・よく聞いて。



〇笑ってみせて〇



「銀さん、こんな雑用までやらされるなんて聞いてねーよ?」

「視界に入る範囲でゴロゴロされてっと気が散るんだよ。一体何しに来てんだ、てめぇは」

長閑な昼下がり、真選組屯所に男が二人。
朝から書類と向き合う土方。
掃除でもしている様に言われてハタキを振るう銀時。

ーー・・・パッパッパッ

ーー・・・パッパッパッパッパッ

「パッパッ・・・」

「煩ェェェッ!黙って出来ねェのか!」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・おい?何処にハタキ掛けてやがる・・・書類が見えねェんだけどっ」

土方が仕事をする机、主に土方の手元に集中するハタキ。
業を煮やした土方は銀時に別の部屋の掃除を指示した。

「真に残念ながらそういう訳にもいかねーの。一応ゴリラからの依頼だし報酬も貰っちまったって言ったろ?」

「・・・ったく。別に一分一秒目を離すなって事じゃねーだろ?」

「いーや!銀さん請けた依頼はキッチリカッチリやる主義だから!」

「来て早々寝たのは誰だっけか?」

はい、俺です。
正直どうすればいいのかわからなかったし、寝てしまおうと思って、やっぱり駄目だった。

「もうわかったからその辺で寝てろよ・・・その代わり、鼾でも掻きやがったら蹴り出してやるからな」

「・・・・・・いくら銀さんでも寝飽きたっつーの」

寝ようと思えばいつでも何処でも眠れる体質だと思っていたのに、今日は目を瞑っても全く眠くならない。
寝てるフリも疲れて、限界。

銀時はつまらなそうに土方の後ろで壁に寄り掛かると、ズルズルと腰を下ろした。

「・・・土方君さぁ、誕生日なんだってね?」

「ああ」

(思ってた以上に反応薄いよ、この子・・・)

「・・・・・・ゴリラも案外気ィ遣えんじゃん」

「ああ」

「・・・・・・で、休み取らせたって聞いてんだけど・・・何でお前仕事してんの?」

「ああ・・・・・・っくしゅん・・・あー・・・」

「・・・・・・・・・」

これは完全に聞いてない。
意を決して切り出した話題なのにだ。

(くそっ、つまんねェ・・・・・・ってか寒いの?花粉?戸閉めた方がいい?・・・いや、でもなー・・・)

部屋を閉め切るのは窮屈と言うか、気まずいと言うか、何と言うか・・・。

「なぁなぁ?腹減らねェ?」

(どうせ「ああ」だろ、コノヤロー!今すぐ飯だ、飯っ)

「お前、家でもそうなのか?」

「おう!じゃあ、め・・・え?」

振り向いた土方は呆れ顔。

「アイツらも苦労してんな」

「何がッ!?」

クルッと再び書類に向かいながら「天パは寂しがり屋・・・っと、メモメモ」と、銀時を揶揄する土方。
勿論、実際に仕事の書類に書き込んだりはしていない。

「ちょ、違いますぅ!何言っちゃってんのォォ!?」

「・・・・・・(構ってちゃん)」

「あー!また何かボソっと言ったろっ!?」

俺は断じて寂しかった訳ではない、絶対、マジで、本当に。

銀時は壁から背を離すと「何つったんだよ」と、物凄い勢いで土方の背に躄り寄った。
知らず、グッと背伸びをする土方。

「っ・・・はぁー・・・」

パタンと、そのまま後ろに寝転んだ土方の頭は見事なまでに完璧な距離感で銀時の膝へと乗る。
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