《銀×土》
□今日の終わりを待ってる。
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愛してる。
愛されてる。
お互いが同じ気持ちでいて、それなのに、反比例して増えていく空白の時間、ぎこちなさ。
逢えないんじゃなくて、逢わなくなった。
一緒にいても時計を気にするようになった。
いつから?
どちらから?
理由なんか無いのに、どうしてこうなったんだろう。
愛してる。
愛されてる。
愛さえあれば、どんな事があったって大丈夫だと思ってた。
愛があるのに、俺達は・・・ーー。
〇今日の終わりを待ってる〇
銀時は本当に馬鹿なんだ。
後先の事とか考えなくて突っ走るから、ほら・・・。
なにも、こんな真っ昼間に切り出さなくたって良かっただろう。
あと少し、もう少し待ってくれたら、俺から切り出すつもりでいたのに。
銀時の背中を見つめながら、彼が自分のミスに気付いた時、傍にいてやりたいって・・・今頃になって、こんな気持ちが昔みたいに湧くんだ。
無理して笑うのも、それを見るのも互いに辛くて、一緒にいるのがしんどくなってた癖に。
作り笑いの理由も、俺達、一緒なんだと思う。
『君がそんな風に笑うから』
幸せだってのに、俺達、そんなどうしようもないジレンマから、まんまと抜け出せなくなった。
ふざけた調子で銀時は言う。
『終わりにしよっか』
冗談みたいに、それはそれは子供みたいに無邪気な笑顔で。
どれだけ一緒にいると思ってるんだよ。
俺は、そんなに物覚えも悪くない。
思わず「早ェよ」って言いそうになった。
言ってしまえば良かった。
今日か、明日か。
銀時は、そんなやりとり無かったように、どうせ嘘なんだろうって、俺が言うのを待ってる。
『また馬鹿な事言ってんじゃねーよ』
そんな風に俺が、今までみたいに。
委ねるなよ、全部。
今回ばかりは、俺も銀時に委ねてしまいたかった。
愛してる自覚と、愛されてる確信と、僅かな疑心。
互いに同じモノを抱えて。
万に一つ、お前の言う『終わり』が嘘でも何でもない『答え』だったらと思うと・・・。
銀時は、俺がそういった可能性に思い至った時どうするかもわかっている筈なのに。
俺が切り出し、銀時がふざけた調子で流す、それが良かった。
きっと自分のミスに気付いた時に銀時は、今の俺と同じ場所で身動きが取れなくなる。
俺は『終わり』を受け入れてるのかもしれない、待っていたのかもしれないって。
馬鹿過ぎて、どうしようもないよな。
俺達、本当に・・・ーー。
ネタばらしの無い『嘘』
終わらないエイプリルフール。
愛してる。
愛されてる。
ーー・・・待ってる。
『嘘だよ』
ーー・・・待ってる。
「早く来いよ・・・・・・バカ」
ーー・・・来れないと、わかってもいる。