Biohazard

□ムゲット
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「……、モエミ…、モエミ」



「……ん」


だれかに呼ばれる声が聞こえる。

うっすらと目を開けると、サラサラの金糸が目に入った。


「……レオン?」



「起きたか?着いたぞ。」


「ん」


レオンが車を降りるのに続いて私も降りる。


バタン、と扉を閉めると、隣にはレオンが来ていた。


「こっちだ」

彼は私の手をひいて歩きだした。

彼に連れられて歩いていくと、そこにあったのは、桜並木だった。






「…すごい。これ、全部桜?」

「あぁ、この間偶然見つけてな」


「とても綺麗ね。桜なんて、何年振りだろう…」


レオンの手から離れた私はふらふらと、桜に引き寄せられる。

…本当に綺麗だ。視界いっぱいに咲いたそれは、儚く、頼りなさげだったけど、それ特有の美しさが、私は大好きだった。




「……モエミ」


レオンに呼ばれて後ろを振り向けば、桜吹雪に包まれた彼もまた、桜同様、綺麗だった。


彼はその青眼を真っすぐ私に向けたまま目の前までくると、そこで片膝を着いた。



そして、やっと私から目線を外してジャケットの中から小さめの箱を取り出して、中身を抜き取った。


もしかして、と私の中で期待が膨らむ。


レオンはまた私に目を向ける。そのままふっ、と微笑んで、私の左手をとり、薬指に指輪をはめた。


「…モエミ、俺はこれからも君と一緒にいたい。楽しいときも、つらいときも。
だから――――俺と、結婚してくれないか?」



瞬間、涙が出た。

嬉しくて、嬉しくて、堪らない。

私は立ち上がったばかりのレオンに思い切り抱き着いて、返事のかわりに彼にキスをした。









(鳴ったのは、教会の鐘)
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