Biohazard
□危険区域
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「ぐっ!!!」
モエミの膝がジェイクのみぞおちに命中した。
ジェイクは目を剥いて身体を折ったが、必死に足を踏ん張った。そのあたりが負けず嫌いのジェイクらしい。
「終わりだ。戻れ」
「んだよ、まだいけるぜ」
「お前は今の一撃で致命傷を負った。ほんとの戦闘ならお前はこれで死んでる」
きっぱりと言ってやると、しぶしぶといったようすで円陣に戻っていった。
「よし、今日はここまで!今から行軍するから準備してきな」
そういうと、円陣が散り、隊員たちは一斉に出口にかけて行った。最後に出て行ったジェイクの背を見送りながら、モエミは頬を伝う汗をぬぐった。
ジェイクは気づいているだろうか。
彼は、確実に強くなっている。ジェイクとの格闘にかける時間は回を重ねるごとに長くなり、モエミの疲労も大きくなっているのだ。
格闘術のエキスパートと謳われる自分にあの少年が追い付くのも時間の問題だろう。
近い将来が楽しみだな、とニヒルに笑って、モエミもジェイクたちが待つ場所に足を向けた。
太陽は、イドニアをまぶしい程に照らしていた。