中編
□走れ、走れ。
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「あー、入れられた!!!」
私が悔しがって言うと、レオンは勝ち誇ったような顔て、身長差だな、と言った。
「なにそれ!私がチビだっていいたい訳!?人のコンプレックスを何食わぬ顔でいうなんて………!!!」
拳をぷるぷるさせながら言うと、レオンは今度は楽しそうに笑った。
ふと、違和感を感じた。
そう、いつも元気なアンドリュー君の声がないのだ。
それに気づいて彼を見ると、隣にいるメイとおなじく、口をあんぐり開けていた。
「メイ、アンドリュー君、どうしたの?」
二人は私の言葉にはっとして、しげしげとレオンの顔を見た。
「レオン、お前も人間だったんだな」
「おいリュー、それはどういう意味だ?」
「いや、だって…なぁ」
「私もそう思ったわ。あんなに無表情で有名な王子様が笑うなんて」
「俺だって人間だからな。」
レオンが憮然と言うと、二人はどこか納得したように、意味ありげに笑った。
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