Biohazard
□彼岸花の涙
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「モエミ、」
ぎゅうっと腕に力がこめられる。
「…モエミ、俺も君を愛してる。来世で、また会おう。約束だ」
「……っレ、オン…」
ぼろぼろと堪えていたものが溢れだす。
「愛してる。モエミ」
「…私も、っ、愛しっ、てる……!!」
私の肩のあたりがじんわりと湿るのを感じた。
「「さよなら」」
ゆっくりと腕が離れ、彼の足音が、どんどん遠ざかる。
ごしごしと乱暴に涙を袖で拭って、前を見れば、ゾンビの大群はすぐそこまで迫っていた。
私はそれらをキッと見据えた。
「ここから先は、通さない」
ぎゅうっと、手榴弾を握る手に、力を込める。
がぶり。肩に、鋭い痛みが走る。
続けざまに、腕、お腹、足…。
痛みが全身にひろがる。
私は手に力をこめて、ピン、と手榴弾の栓を抜いた。
―――さよなら。
…最期に見えたのは、
光の中で笑う、あなただった。
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