Biohazard

□彼岸花の涙
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「…最期くらい、レオンを守りたいの。好きな人を守って死ねるなら、本望だよ」


彼がひゅっと息をのむのがわかった。


その目は、これでもかと言わんばかりに見開かれている。


「……モエミ、それは、」


「なんだか私、ずるいね。言い逃げなんて」


くすり、と笑みをこぼす。


無理に笑ってること、レオンにばれないように。


……目頭が、熱くなっていく。




ほんとはまだ、生きていたい。レオンと一緒にいたい。


だけどそれ以上に、レオンを傷つけたくない。


ゾンビに成り果てた自分が彼を傷つけるなんて。


そんなの嫌。絶対に。



涙がこぼれてしまう前に、私はくるっと彼に背を向けた。


「……行って、レオン。生きて。数時間だったけど、あなたといれて、幸せだった」


一筋、私の目尻から頬を伝った。


「……………。」


「ありがとう」


ぽたりと、雫が地面にシミをつくる。


だけど、本当に、幸せだった。


「……モエミ…」


ジャリ、と音がした。


―――あぁ、彼が行ってしまう

――胸が、苦しい。




瞬間、ギュッと後ろから抱きしめられた。








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