Biohazard
□彼岸花の涙
2ページ/4ページ
「…最期くらい、レオンを守りたいの。好きな人を守って死ねるなら、本望だよ」
彼がひゅっと息をのむのがわかった。
その目は、これでもかと言わんばかりに見開かれている。
「……モエミ、それは、」
「なんだか私、ずるいね。言い逃げなんて」
くすり、と笑みをこぼす。
無理に笑ってること、レオンにばれないように。
……目頭が、熱くなっていく。
ほんとはまだ、生きていたい。レオンと一緒にいたい。
だけどそれ以上に、レオンを傷つけたくない。
ゾンビに成り果てた自分が彼を傷つけるなんて。
そんなの嫌。絶対に。
涙がこぼれてしまう前に、私はくるっと彼に背を向けた。
「……行って、レオン。生きて。数時間だったけど、あなたといれて、幸せだった」
一筋、私の目尻から頬を伝った。
「……………。」
「ありがとう」
ぽたりと、雫が地面にシミをつくる。
だけど、本当に、幸せだった。
「……モエミ…」
ジャリ、と音がした。
―――あぁ、彼が行ってしまう
――胸が、苦しい。
瞬間、ギュッと後ろから抱きしめられた。
_