Biohazard
□Sweet Magic
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今日は2月14日。俗に言う、バレンタインデーだ。
まだ雪がちらつく中、暖かい部屋の中で、私はチョコを溶かしていた。
黒いスピーカーから、アバの『WATERLOO』が流れている。
――――ウォータールー、これからも永遠にあなたを愛すと誓うわ
アップテンポで流れるそれは、特別な日のお菓子作りを楽しくさせた。
音楽にあわせて鼻歌を歌いながら、ボウルの中の卵や小麦粉を混ぜたケーキのタネに、溶かしたチョコを加えて、また混ぜる。
十分に混ぜて、それを型に流し込むと、ちょうどオーブンの予熱の終わりを知らせるアラームがなった。
オーブンに型を入れ、30分のところで決定を押す。
今日はいつもよりビターなチョコケーキだ。甘いのが苦手な、あの人のために。
いつの間にか、テープがかわっている。
映画音楽のインストゥルメンタルだ。耳に馴染んだ懐かしめのテーマ曲が、流れる時間をゆっくりにする。
私はケーキの出来上がりを待つ間、コーヒーをいれて一口それを飲むと、レオンと付き合いはじめたときのことを、ふと思いだした。
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