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□邂逅の熱
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勧励の太陽

─容赦なく照りつけてくる太陽。
清々しいまでに青く広がる大空。
砂まみれの砂漠越えをした旅人たちを祝福するかのようにむかえるオアシス都市。

「あっつ…」

そんな言葉を並べてみても暑いものは暑いもので。
「なんでこんなとこに呼ばれたのかな…はぁ…」
正直、好きで来たわけでもなく。

いつの間にか「何でも屋のカノ」という名前がこの世に広まっていたらしく、
…いや、僕はとくに大それたことはしてないつもりだけど。

そんな僕にまた依頼がきた。
文面では、それほど詳しく説明されていなかったところや何でも屋の僕に頼むところを見ると、
金の臭いが漂い、それでいて、汚い依頼。
書かれていたのは、住み込みである程度の金を積む、といったこと。
こんなことだけ書かれていたら普通は依頼を受けない。

そりゃあ、僕だっていつもだったら受けない。
しかし、匿名ならまだしも、この都市の領主からの依頼であった。
この都市は、かなり有名な都市であり、そこの領主の依頼ときたらまあ…
「金のためだ…うん。」

だが、この暑さはさすがに気落ちする。
住み込みでってことは最低でも三ヶ月…半年くらいはここの都市にいなきゃいけないかな…。
「はぁ…」
ため息が漏れる。

「安いよー!」
商店の通りが栄える声が聞こえる。
ちなみに僕が通ってるのは、裏路地…スラム街。
こんなさかえてるような都市でもやっぱり格差はある。

まわりには、ボロボロの布をまとった子供達が走り回っていた。
きっと、この子たちにはただ走り回るという遊びしかできないんだろう。
僕が哀れみの目で見てもなにも思わないだろう。
なんとなく、昔を思い出したりして感傷に浸っていると約束の時間になっていた。
「うわっ…時間…」
そうして、領主の砦へと向かった。
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