短編小説

□I love you
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「大我〜I love you!」



「お、おう…」



「だから、そうじゃないでしょ!?」



恋人という関係の霰と火神大我は、火神の家でのんびりしている。



「自分の気持ちを素直に言えないと嫌われちゃうよ?」



「……!そ、れは…困る」



「でしょ!?今日中に私に『好き』って言えるようにならないとバスケ出来ないよ?」



否、恋のレッスンをしている。



「バスケ出来ないのは嫌だ…」



そして駄々っ子火神である。



「英語だったら大我は言えるって言った。けど、言えなかった」



「…っぐ。それは……」



「じゃあ、言おうねぇ〜!ファイト!」



「お、おう!」



火神は自分の気持ち…特に恋愛に関しては、素直に口にすることができない超ウブっ子なのである。


霰もそんな火神だからこそ好きになった部分もある。あるにはある。だが……



「愛の言葉が足りないッ…!」



そのことに気づいたのはつい最近だ。


なので誘導作戦とか色々な策を講じてきた。



『大我、バスケ好き?』



『おう、好きだぜ』



『じゃあ私は?』



『え、あ…んなの言わなくても分かるだろ?』



だが、いつも失敗に終わる。


だから私は、愛の告白大作戦〜霰ちゃんに好きと言えるか〜を実行している。


だが、始まってから三時間が経とうとしている今、一回も、一言も、一文字も言っていない。


こうなったら最後の手段。



「大我、不安…なんだよ?」



「ん?」



「ちゃんと、言ってくれないと不安なの。本当に大我は私のこと好きなのかなって。もし、言えないんだったら…私、大我と別れる」



「はぁ!?霰と別れるなんて考えられねぇ…」



「だったら、言ってよ…」



霰は涙声で火神の胸に飛び込んだ。


彼女の肩が震える。



「霰…」



火神は自分の胸で震える彼女の肩を優しく抱いた。


彼女の髪の毛に顔を埋める。



「霰…好き、だ。I love you…」



火神はそう言いながら背中を擦る。


その言葉を聞いた霰は、パッと顔を上げ火神の唇に自らのをつけた。



「…っん!?」



「やっと言ってくれたね!」



と満面の笑みを浮かべる霰。


その顔には涙の跡は、一切残っていなかった。



「…ってめぇ、まさか言わせるためにわざと…!」



火神は恥ずかしさから怒りが込み上げてくる。



「そうだよ〜!けど…」



霰は一呼吸置いて…



「不安だったのは本当。それに、言ってくれて嬉しかった!ありがとう、大我!」



霰は火神の頬にキスを落とした。



「大好きだよ!」



霰の笑顔がとても眩しかった。




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