飛躍少女と鷹の目少年

□第3Q どーよ、男として
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仮入部の許可がおりた三人は、今、監督の隣で先輩たちの前に並んで挨拶をしている。



「緑間真太郎です。よろしく」



一年生なのにとても貫禄がある緑間に他部員は、これがキセキの世代か…と息を呑む。



「俺の名前は高尾和成っていいマス。どうぞよろしく」



勿論、最初の印象はチャラい…だが、この時期に仮入部で出来るということはそれなりの実力なのだろうと部員は悟る。



「私は茉莉瑠璃です。よろしくお願いします」



え、この時期にマネージャー?と部員は考えていた。


実力ある一年が入ってくるのはいつものことだが、マネージャーが入ること自体初めてなのだ。



「ちなみに、茉莉はコーチをやってもらう」



監督は、部員が瑠璃がマネージャーだと思ったことを悟り説明を付け加える。



「えぇぇ!?」
「マジでか!?」



思った通りの反応をする部員に、面倒だと瑠璃は思った。



「そういうことなんでよろしくお願いします」



瑠璃はざっくりとまとめて再び頭を下げた。














仮入部と言っても、今日一年生がいるのは午前中だけ。


大体の概要と部活内容、練習風景を見たら一年は解散となった。


秀徳高校バスケ部の一年組は自然と一緒に帰る。



「何もしてねーけど、腹減ったぁ〜」



帰りの道で高尾が伸びをしながら言う。



「確かにね。…あ」



ここで瑠璃はふと思いついた。


せっかく同じクラスで同じ部活だから3人で仲良くしたいなと。


親睦を深めるにもお腹を満たすにも丁度良いから、これから3人で昼食をとればいいんじゃないか。



「ん?瑠璃ちゃんどうした?」



高尾が瑠璃に話しかける。



「うん。お腹も減ったし、これからみんなでご飯でもどうかなって」



瑠璃が高尾に向かって言うと高尾は顔を輝かせる。



「いいね〜!行こーぜ」



高尾は自然と瑠璃に肩を回す。



「何故、俺が貴様らと食べねばならない。……俺は帰らせてもらう」



ノリノリな瑠璃と高尾に対して、全くノリ気でない緑間。


瑠璃からしたら想定内なわけだが、高尾からしたら予想外なわけで。



「ンだよ、キセキの世代様は連れねぇな〜。だったら、瑠璃ちゃんと2人で行くからさ」



「フン、勝手にするのだよ」



ここで瑠璃は、高尾が緑間のことを…緑間が高尾のことをお互い気に入ってないと勘づいた。


だとしたらますます仲良くさせないと…と思った瑠璃は、少し汚いが脅しを使わせてもらうことにした。



「明日真ちゃんのおは朝グッズが全て灰になるけど、それでもいいんなら行かなくていいよ」



瑠璃ならやりかねないその言動にうろたえる緑間。


その様子を瑠璃の顔の側から見ていた高尾は疑問に思った。


おは朝という番組があるのは知っている。


しかし、緑間がそのグッズを持っている…しかも大事にしているとは到底思えなかった。



「クッ…。分かった、行けばいいのだろう行けば」



……恐るべしおは朝グッズ。


そして謎過ぎるキセキの世代の緑間だった。



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