飛躍少女と鷹の目少年
□第5Q 『キセキの世代』を倒すと
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秀徳高校バスケ部の強さは、とてつもない練習量――
も、勿論だが敵場視察もわすれていない。
今日はレギュラー以外の部員は、各高校へ視察しに行く日だ。
コーチである瑠璃は行かなくても良いのだが、候補高校の中に気になる高校があったので主将に頼んで無理矢理行かせてもらうことにした。
「お前は行かなくてもいいだろう、瑠璃」
緑間は瑠璃に言う。
「自分が行きたいの」
「帰りはどうするのだよ」
「送ってもらうよ」
「誰にだ」
「………………じゃ」
瑠璃は歩いて、お母さんみたいな緑間から逃げようとしたが「待て」と腕を掴まれた。
「まさか、俺が迎えに行かないといけないなんてことはないだろうな」
「それはないよ」
「じゃあ、誰に送ってもらうのだ」
瑠璃は若干言いにくそうに顔をしかめたが、諦めて口を開いた。
「………テッちゃん」
緑間は一瞬誰かと思考を巡らせ、思い付いた人物を頭に起こした。
「アイツのとこなら、尚更行く意味が分からない。必要ないだろう」
緑間は腕を離し、瑠璃と向き合う。
「…面白い情報が入ったの」
瑠璃は少し声を小さくして緑間に話した。
「さっちゃん情報なんだけど、テッちゃんの今の相棒が昔の大ちゃんにそっくりなんだって」
見てみたいじゃん?と瑠璃は珍しくテンションが上がっている模様。
ちなみに、さっちゃんというのは帝光時代マネージャーだった桃井さつきのことで、大ちゃんというのは桃井の幼馴染みでキセキの世代の青峰大輝のことだ。
帝光時代からの親友である瑠璃と桃井は度々連絡を取り合っていて、情報網な桃井から色々聞いているそうだ。
「それにね、今度海常高校と練習試合するんだって。さっちゃんはその日観に行けないから、私が観に行くんだ」
緑間はその話を聞いて、うんと言わざるを得なかった。
「…分かった。帰りはアイツに送ってもらえ」
「うん」
そして、瑠璃は秀徳高校体育館を出た。
「真ちゃーん、練習って…何しかめっ面してんの」
不機嫌なのが顔に出ていた緑間に話しかけた高尾。
「なんでもないのだよ」
「てか、瑠璃ちゃんは?」
「今、アイツの話をするな!」
行くぞと言ってコートに戻っていく緑間に疑問符を浮かべながら付いていく高尾。
まぁ、後でメールしとこっ!と思った高尾であった。
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