小説

□叫ぶは求めの言の葉
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あの人は僕にけして触れようとはしなかった。

優しくするくせに触れることだけは拒んでた。

好きなのにどうして?そう問いかけたかった。

そして哀しくて涙が零れた。

それを驚いたようにあの人は見て拭おうと手を伸ばした。

だけれどその手は届くことはなくおろされた。

それで全てが弾けた。哀しくてもう痛くてたまらなかった。

そして告げる。貴方を求める求めの言の葉を。


「どうして優しくするのさ!!」

「僕は君のことが好きなのに」

「なのに期待させないでよ」

「僕は貴方に触れてほしいのに」


ほろりと涙があふれて次の言葉を紡ぐことはできなかった。

貴方は僕を抱きしめて唇が重なった。

口付けは涙の味がした。哀しさが嬉しさに変わる。

唇を離しても貴方は僕を放さなかった。

それが嬉しくて僕は貴方に微笑みかける。

そして二人は寄り添いそれから離れることは終ぞなかった。

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