天雪
□繋いだ縁は
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天海と中々会えなくなってから早一週間が経っていた。
そして今日やっと会えることになって嬉しくて泣きそうになっていた。
天海は私のことはもういらないの?
そんな不安も会えない間に蓄積した中での会う約束。
其れはゆきをとても舞い上がらせた。
そしてカフェですごしたあと天海の家へとゆきは招かれた。
そして神妙な顔をした天海から小箱をゆきは受け取った。
「天海?」
「ゆき愛しい子開けてごらんなさい」
そういわれるがままに開けると其処にあったのは
ダイアモンドの指輪だった。
「天海これは…」
「こちらの人は結婚したい人に指輪を贈ると聞きました」
「お気に召しませんでしたか?」
ゆきはふるふると首を振ることで答えた。
嬉しくて泣きそうでこんな幸せなことがあるのだろうか?
天海はそんなゆきを優しく抱きしめその頬を伝う涙を舐めとった。
かそけき声であまくあまく蝶をとらえるように優しく囁いた。
「愛しい子君を誰にも渡したくはありません」
「だからどうか私の妻になってくださいますね?」
有無を言わさぬ言の葉なのにどうしてこんなにも嬉しいのだろう。
嬉しくて嬉しいのに涙が止まらない。
こんなにも愛しい人の妻になれることがとても嬉しい。
「よろしくおねがいします」
其の夜は天海と共に語り合うことこそなかったけれど
傍に互いがいる幸福を二人かみしめて…。
解れそうだった縁は繋がりを強くして今ここに在る。
この繋いだ縁をほどけないように二人でもっと強く結んでいこう。
別たれることが二度とないように。