進撃の巨人
□カゴノトリ
1ページ/1ページ
私は死ぬんだ。
そう思った。
既に私は巨人の手の中だった。
恐怖で叫び声すら出なかった。
口に入れられる瞬間、巨人は私の身体を離し倒れた。
何が起きたのか分からなかった。
ただ一つ分かったことがある。
自由の翼を背負った男に救われた。
男は私を抱きかかえ安全な場所まで運ぶと巨人の元へと戻っていった。
「死ぬんじゃねーぞ」
そう言い残して。
苦しい。
鼓動が早い。
あぁ、これを恋というのか。
私はとんでもない人に恋をしてしまった。
なんの躊躇いもなく、巨人に向かってゆく。
振り返ることなく馬を走らせ壁外へと行ってしまう。
そこには美しく恐ろしい景色が広がっているのだろう。
貴方はきっと沢山の人を助けたのだろう。
私のことなど覚えていないのだろう。
でも、私は貴方を一生忘れないでしょう。
「絶対に死なないで」
壁外へ向かう彼の後姿にそう呟いた。
歩きながら青々とした空を仰ぐ。
私は今日も、籠の中の鳥である。
.