風姿華伝書

□華伝書103
1ページ/7ページ

「まったく・・・・・・・

信じてもらえないとは


夢にも思いませんでしたよ」


「す、すみません。


あの時も・・。・・・っ」

「一・・・・・・?」


一・・・まさか、先生?一

(そう思って、木戸を


開いてしまったから・・)

皆が<懐かしい光景だなぁ>

と、玄関先で瞳を細め合う

中、ようやく先生の頬から

手を離したみつは、力なく

口を閉ざした。


すると、その様子を


すぐそばで眺めていた


原田さんが、今だ階段の上

で刃をちらつかせている


先程の素浪人達のもとへ


歩み寄り、


「一・・・俺ぁ、今


苛ついてんだ。さっさと


そこをどけ・・・・・・」

と、いつになく殺気立った

眼で睨み付けた。


ギラリと光る瞳と共に


浪人達へ向けられた槍の


先が蒼白く、廊下の燭台の

灯りに映える。


うっ・・と、一瞬、浪人達

の動きが怯んだ。


「・・・急に、どうしたっ

てんだよ、左之?いつもの

お前らしくもねぇ」


たまらず、永倉さんが


原田さんの横に並び


ポンッと肩に手を置く。


それに続けとばかりに


他の隊士達もぞくぞくと


店内へ足を踏み入れていった。


「っ、だってよぉ・・・。

八っつぁん、悔しいじゃねぇかっ」


と、同時に原田さんの


口からため息が漏れる。


だから何が?と、皆の顔色

が一つになる中。


「俺達は、何年も前から


お預けくらってるってのに

こいつらは、意とも簡単に

みっちゃんへ手ぇ出し


やがってよぉっ!!


俺達を差し置いて・・・・

悔しいじゃねぇかぁ!!!」


「一・・・・・・は?」
(みつ+総)


苛々の理由・・・・・・・

・・・そこぉっ!!!??
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ