風姿華伝書

□華伝書32
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局長が、声を張り上げ、 

店の中へ入ると、驚いた 

ように店の主人が、   

奥の二階へ、飛んでゆき 

さけんだ。


「お二階の皆様っ!


御用改めでございますっ!!」


一これで、確定した。  

浪士達が密会を開いていた

のは、木屋町通りを少し 

はずれた、この、    

〈池田屋〉だと


言うことが・・っ!!!一

「一・・・当たりだっ、


皆、行くぞっ!!!」


近藤局長は、三人に   

そう言うと、店の中へ  

走りこみ、主人を殴り  

倒し、ダダダッと、奥の 

二階へ駆け上がり、   

右手側の大きな戸を、  

バンッ!と、開いた一・・。


「御用改めでごさるっ!!

手向かい致す者は、


斬り捨てるっ!!!」


と、大声で一喝した。


密会を開いていた浪士達は

ビクッと、動きを止め、 

局長達を、睨む。


すると、わあぁっと、  

一人の浪士が、局長へ  

刀を向けた。


その刹那。


その浪士の首が、飛ぶ。


京で、〈鬼の申し子〉と 

呼ばれる、沖田先生が  

斬ったのだ。


辺りは、血に染まった。


この瞬間。


一気に、浪士達が動きだす。


明かりは、吹き消され、 

二十数名の浪士達が、  

刀を抜き、二人に向かってくる。


近藤局長と沖田先生が  

二階で、次々と浪士達を 

斬っていく中、一階では 

永倉・藤堂先生が、逃げて

くる浪士達に、刀を振るっていた。


すると、沖田先生が、  

敵を袈裟斬りしながら、 

さけぶっ。


「近藤先生っ、


下へ、行ってくださいっ!

ここは、私がっ!!」


局長は、敵の刀を押し返し

腹を斬ると、


「わかったっ!頼むぞっ!!」


と、言い、ダダッと、  

一階へ、かけおりていった。


沖田先生が一人、二階で 

刀を振るう中、階下では 

三人の鬼の声が、響いていた。


「斬って、斬って、


斬りまくれっ!!!」


「おおぉっっ!!!」


近藤局長と、共に、


隊士達の気合いが、   

池田屋全体を、


包みこむ一・・・。
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