風姿華伝書

□華伝書31
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ーーー途中。


土方隊は近藤隊と分かれ、縄手通りを


北へと進んでいった。


皆、何も言わず、首を縦に振ると、


これが最後になるやもしれぬ仲間達と別れた。








ーー新選組である!


     主人はいるかっ!?







土方副長が、最初の旅籠に着いた頃。


近藤隊は四条大橋を渡って、木屋町


通りにさしかかっていた。


辺りは、すでに闇。


ただ、旅籠やお茶屋が多数、存在して


いるため、障子戸から漏れる淡い光で


通りは少し、明るくなっている。


「一・・・いいか。


いつ、敵が飛び出てくるやもしれん。


皆。覚悟して、行くんだぞっ」


局長が、最後とばかりに忠告する。


すると、藤堂先生の横にいた


永倉先生が、咄嗟に口を開いた。


「何言ってんだよ、局長。


そんな覚悟、常日頃からだろっ。


鬼副長のおかげでっ」


と言い、ニカッと笑った。


局中法度のことを言っているのであろう。


「一・・・。トシに、感謝だな」


局長が、顔をほころばせ歩き始める。







ーー一新選組であるっ。


   主人は、いるかっ!!?ーー一


近藤局長の声が、夜の木屋町通りに


響いていた一・・・。
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