風姿華伝書

□華伝書31
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いよいよ、出陣かっ!!と皆、士気を


振るい上げ、援軍がくるのを


待つのだが、時は過ぎてゆくばかり。


最初は、土方副長も我慢して待って


いたが、予定の時刻(午後8時)


から、小半時(約30分)を過ぎると・・。


「局長っ。これじゃいつまで待ったって


援軍はこねぇよっ。


俺たちだけで、行こうっ!」


土方副長が痺れをきらせ、ついに声をあげた。


しかし、局長は座りこんだまま、


微動だにしない。


「しかし一・・・」


そして、しまいには口を濁らせた。


しかし、さすがに    


小半時も過ぎて援軍が来ないとくれば    

「本当に来てくれるのだろうか」         

と、隊士のみならず、局長でさえも


不安に気色を染める外、なかった。


・・・そこへ、土方副長が口を開く。


「近藤さんっ。このまま時がたち


やつらが逃げて京が、火の海になる


のと、それを、防ぐのと、


あんたは、どっちがいいだっ!!?」


ここまで、言われて、  


やっと、局長は立ち上がり、笑顔で


土方副長に返した。


「一・・・防ぐ方に、


決まってるだろっ!」


そう言って、ニカッと笑うと大声で、返した。









「一・・・新選組っ、


これより、出陣するっ!!」


おぉぉっっ!!!と隊士達の


士気は最高潮になり、会所を出陣していく。


そして、四条通りを西へ350メートル程


進んだ所で土方隊は、近藤隊と分離し


縄手通りを右折北上、近藤隊は


なお200メートル西へ、四条通りを


進み、四条大橋を渡って木屋町通りへ


向かい、進んでいった。






一すべては、京に住む人々のため。


はては、将軍様・天子様(天皇)の


ため、我らは心を鬼と化し。


いざっ!!志士達のもとへっ!!!一







皆、こういう思いであったに違いない・・。


     ザッ、ザッ、ザッ


新選組は、うっすらと明かりの灯る


薄暗い道を北上してゆく一・・・。
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