みじかいの
□Happy Birthday To Friend!
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「では、私の後に続けて皆さんも読んでみてください…。A few days…」
流暢な英語を右から左に聞き流しながら軽く欠伸を噛み殺す。
窓際のいちばん後ろ。
午後の授業になるとベストに日が当たり、さらに教師の目から逃れられる最高の席。
そんな席にいれば誰だって眠ってしまってもおかしくはないはずだ。
うとうとと微睡んでいれば運悪く当たる順番が回ってきてしまった。
「(今日、誕生日なのに。)」
教師が知っているワケもない個人情報を心のなかで呟きながらしぶしぶと訳を呟くように言う。
結構です、の声が聞こえると一息ついてから窓の外を見た。
すると信じられないものが目に入り、自然と目を見開く。
視線の先であるグランドには運動をしている生徒にまじって二人組の制服姿の生徒がいる。
こっちを向いて両手を振りまわし、「かっちゃーん!」と叫んでいる辺り、たぶんアイツらは違うクラスになってしまった悪友だろう。
「かっちゃん、こっち、こっちー!!」
二人が必死で指差す方向を見ればグランドのど真ん中になんとも歪な形をした巨大な石灰粉の白いシートケーキがあった。
「誕生日、おめでとー!」
ぶんぶんと音が聞こえるぐらいの勢いで振られる手とバカデカい声。
どちらも授業中にはふさわしくなくて、思わず笑ってしまった。
Happy Birthday To Friend!
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