みじかいの

□チョコブラウニーの憂鬱
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2月14日。





それは1年の中で唯一男子が必要以上のソワソワを認められる日であり
俗にいう「モテる」系と「モテない」系の間に大きすぎる格差を生む日でもある。


そんな聖なる日に、日本男児ともあろうものが、ただ受身を決め込んで待っているだけだなんて嘆かわしい。
俺は違う。断じて違う。
疑わしいのなら今右手で握りしめている袋の中身を諸君に教えてやろう。

チョコブラウニー。いや、ジョージ・クルーニーではない。チョコブラウニーだ。

そしてこの足が向かうは愛する恋人のクラス。



そう。俺は今まさに“逆チョコ”を実行せんとしている勇猛果敢な青年なのである。






ほら、向こうにいるアイツの顔は心なしか嬉しそうだ。
本来渡す立場でありながら、心のこもったチョコをこの俺からもらえるなんて幸せな奴め。
二人の距離は徐徐に近づき、周りの喧騒は耳に入らなくなる。


だがそれと同時にアイツの周りの人の壁が厚くなったような。いや、人の壁というかアレは…








沢山の取り巻きの中心で
俺の彼女ユイは大量のチョコレートに埋もれていた。(見ろよあの幸せそうな顔!)








身長165センチ、女子バスケ部期待のエースのユイ

そんなんだから女子からの人気がハンパじゃない。
俺が逆チョコに踏み切ったのも、当たり前のようにチョコがもらえるアイツが、俺のためだけに作ってくるとは思えなかったからで
最初にごちゃごちゃ並べた御託はいわゆる格好つけというわけ。


不特定多数の女子からのチョコは、それはそれは美味しそうで、可愛く丁寧にラッピングしてあって
思わず握った袋の中を確認。うん。酷い出来だ。
いっそ渡すのなんかやめてしまおうと踵を返そうとすると、何故かこのタイミングでアイツに気付かれ呼び止められる。



絶体絶命。万事休す。

なんとか逃げ道を探そうともがいたが、結局のところ
俺より男らしくて俺よりモテる彼女様様には勝てないんだな、と悟った俺でしたとさ。













チョコブラウニーの憂鬱


(誰のものより低クオリティで不恰好な俺のブラウニーを、ユイは美味い美味いと喜んで全部食べてくれた
 チクショーふざけんなてめー、一生ついてきます!!)







Fin.








090214 St.Valentine's Day

バレンタインデーフェアとして即行書き上げたもの
早まった感満載。


かかあ天下のカップルが書きたかった
こういう家は安泰だと思う←





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