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□タイトル無
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 視線が合ってちょっと間が空く。一秒後に、唇が薄く開く。笑うと、ちょっとだけ幼いぞ手塚君。かわいんだから手塚君。
「今年も、よろしく頼む」
「もちろんー!こちらこそ、今年もよろしく」
 にこ、と思わず笑う。最初来たから最初に返す、ってなんか小学生みたい。
 思ったけど言わないでおこう。そゆこと言うと意外とスネるしね。
「じゃあ。また学校で」
「うんーまたね。気をつけてねぇ」
 ひらひら、手を振って向けられる背中を視線で追う。まったく、意外にも可愛い同級生にはまいったね。ニマニマしちゃう。
 ふう。と溜め息をついてマフラーに顔を埋め…る。
「…あ!まっ」
 慌てて顔を上げる。歩くの早いな、背中は結構とおい。
「手塚君!」
 門扉を開けて追いかける。足元、お母さんのサンダルだけど気にしない。
「これこれ、マフラー」 
「ああ…すまん」
 今度はいつもどおり見下ろされて、こっちが見上げる。返したマフラーを首に巻きながら、少し背伸びした。
「またうちの前通った時に私いたら、声かけてね?」
 言うついでにほっぺにチュウして、満面の笑みで手を振った。
 された本人は照れもしてないような顔で頷いて、手を振り返
して歩き出した。
 ちょっと耳が赤いのは、寒かったから。そう言うコトにしといてあげよう。




end
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