小説

□なくしたものは〇〇〇
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「……あれ?ない」

事件は九龍のその一言で始まりました。




──教室にて

今は昼休み。
生徒達は各々にお弁当を広げたり、移動をしたりして賑わっています。

皆守も九龍を屋上に誘おうと、席まで歩いて行きました。
ですが、何やら鞄を確認したり懐をガサガサしたりしています。

「九ちゃん、何やってんだ?」

「甲ちゃん、無くなっちゃった」

「何が?」



「俺のガーターベルト」


ざわざわざわっ!!!


と本来なら騒がれるハズな所ですが、この學園にはやたら個性に満ち溢れまくっている人達が多数存在する為か顔を引きつらせたりする人もいましたが、"あぁ、またアイツらか"と、ほとんどの生徒は普段通りでした。全く素晴らしい精神です。

「馬鹿かっ!!わざわざこんな所で言うなよ!?」

皆守さんはあわてて九龍の口を塞ぎますが、全く周りは九龍を含め気にしていないので可哀想な限りです。

「だって!朝学校に来た時まではあったのに…」

「んなもん、持ってくんなよっ!?」

「ほらAP上がるし」

「上げてどうするんだよ!?」

皆守さん…結局騒いでます。

「…葉佩 九龍のガーターベルトですって!!!?」

二人が振り向けば、直ぐ後ろに心臓の弱い奴なら気絶してしまいそうなデカイ顔がありました。

「…っ!!朱堂いつの間に!!?」

「オーホホホホッ!!話は聞かせてもらったわよっ!!…ダーリンの使用済み下着はこの茂美が頂くわっ!!……おぅ、鼻血が」

「おい…何勝手な事抜かしてやがんだ」

「うふっ、善は急げよ!!バイビー☆」

恋するオカマは赤いモノを振り乱しながら、持ち前の脚力で教室を出て行きました。


「………………」


「……おい、アイツを止めなくて良かったのか?」

「別に良いんじゃない?」

九龍は落ち着き払って、笑顔で続けます。

「もし、すどりんが先に見付けても"甲太郎"が取り戻してくれるんだよね?」

皆守はいつもは大好きなハズの九龍の笑顔の裏に、とてつもないオーラを感じました。ただの人にこんなオーラを出せたのか、と江原○之もビックリです。
ひたり、冷たい汗が皆守の頬に流れました。

…答えるべき返事は1つだけです。



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