頂き物
□青樺様からの頂きモノ
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二人の日常
ブブブブッ
「…………」
青年は、うっすらと閉じていた目を開く。
未だ胸元で揺れる携帯に、うんざりした様子でため息をつく。
誰からか…なんて、見なくても判る。
――あいつだ。
ゆっくりとした動作で携帯を取り出すと、彼…皆守はディスプレイに目を落とした。
受信日:×月〇日
送信者:葉佩 九龍
件 名:愛しの甲太郎へ
―――――――――――
今夜、俺と遊ぼ?
「……ちっ」
予想通りの人物、そしてその内容に、呆れてものも言えない。
皆守は返信をするため、お決まりの言葉を打ち込む。
『断る』
……と。
まあ、それで諦める奴じゃないことは、皆守も重々承知だ。
ブブブブッ
再び皆守の携帯がメールを受信する。
『何で〜??』
『何で、じゃない!!毎日付き合わされる俺の身にもなってみろ!!』
『でもでも、一人だと俺寂しくて死んじゃう〜』
『喜べ。お前が死ねば、俺は救われる』
『ひどっ!!甲太郎ひどいよっ!!俺への愛は消えちゃったのか!?』
『最初っから愛なんてものはないから安心しろ』
『がーん…甲太郎のバカ馬鹿ぁ!!』
『俺を救いたいんだろ?だったら寝かせろ』
『確かに救いたかったけど、それは意味が違っ…』
『違わない。とにかく俺は寝る』
『ぬぬっ、こうなったら強行手段だ!!今夜、覚悟してろよ!!』
『だったら俺は、お前を蹴り倒してでも寝るぞ』
皆守のメールを読んだ九龍の動きが、ぴたりと止まる。
……一瞬の間。
が、すぐに九龍はカチカチと携帯を打ち出す。
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