中編小説

□人間信者
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どうせいつかは嫌われるなら
愛した人に憎まれるなら
そうなる前に僕の方から嫌った



僕が教団の皆に敬語で話すのは癖だから
別に皆が嫌いな訳じゃない

でも、心の何処かで少し距離を置いてたのかもしれない。
『アレンて近頃、オレらと話す時敬語がハズれてきたよな』
気づかなかったな
言われるまで気づかなかった



だけどいつかは
誰かを求め愛されたいと
そう望むなら



夜。彼女は談話室の窓際で
膝を抱えて空を見ていた

その瞳は何処か遠くを見ていて…
悲しげで、今にも泣いてしまいそうで…
とても綺麗だった

「何を見ているの?」

「…アレン。星だよ?」

何故疑問形なのかは聞かない事にしとこう。


彼女は教団で生まれ、教団で育てられた。
親はいないらしい。
教団の実験体だ。心臓にイノセンスが埋め込まれているらしい。そして臨界者である。正に『神』だ。


わからないよ。
こんなにも君は綺麗なのに。
……僕は君みたいになれない。



そうなる前に僕の方から



もしかしたら憧れているだけかな?



愛してみてよと



君が大好きだ…







―――――………


君があまりにも綺麗に泣くから



空を見ながら綺麗に涙を流す君の
横に腰掛けて

「…泣かないで、笑って?」



僕は思わず横で笑ったよ
すると君もつられて笑うから



そう言いながら僕が笑うと
君は
泣きながら笑った

君が笑ってくれた。
僕も一緒に泣いた。



僕は嬉しくて泣く 泣く



師匠も居なくなって、マナの事もわからなくなって
もう生きてる意味なんて無いと思ってた。



明日を呪う人間不信者は
明日を夢見る人間信者に



でも君となら、一生一緒でもいいと思えた
…やっぱ、まだ……



もう昨日を探してた僕はいない いない



君と生きたい



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