記憶の赤、愛しき人よ。
□発見
1ページ/7ページ
謝肉宴の翌日。
今日もシンドリア王国は人々で賑わっている。
ある少女の、昨晩の謝肉宴での噂を携えて。
瞬く間にシンドリア中に広まったそれは、意外にも彼女の好感度を上げたとか?
* * *
所変わって、場所はその噂の少女の部屋。
彼女は未だふかふかのベッドで目を瞑り、規則正しい呼吸をしている。
「…………ん」
目を覚まし、むくりと重い体を起こす。
同時に頭に痛みが走る。
「いっ………」
あぁ、これは完全に二日酔いだ。
昨日、そんなに飲んだっけか。
昨晩の謝肉宴での記憶を辿る。
…確か昨日は、美味しいご飯をたくさん食べて、アイルーンの舞踊を踊って、みんながたくさん褒めてくれて。
それからシンドバッド様に捕まってお酌してたらマスルールさんに呼ばれて、一緒にお酒飲んで…
そうだ、シャルルカンさんに貰ったお酒がすごく美味しくて、ついついたくさん飲んで………………飲んで…………………
「!!!!」
ニルヴァはベッドから跳ね起きる。
そのまま部屋を飛び出そうとしたが、寝間着だということに気付いて、用意されていた服を手に取る。
ちなみに自分がここに来る前に着ていた服はあちこち引っ掛けたあとがあってほつれ、破けていたので繕ってくれているとのことだ。
すぐさま着替えた後に改めて部屋を飛び出し、廊下を走って行く。
走りながら、ニルヴァは頭を抱えて唸った。
「『また』…やっちゃった………!!!」
* * *
王宮のとある一室。
八人将は円卓を囲んで座っていた。
ジャーファルは肘を立てて指を組み、はぁああと長い溜め息を吐く。
「困りましたね…シンの酒癖の悪さはどうしたらよいものか…」
「けれど、今に始まったことではないではないか。どうしてまた急に」
「それが問題なのですよ」
ドラコーンの問いに、ジャーファルは苦虫を噛み潰したような顔をゆっくりと上げる。