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□clap
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BAR.HOMRAにて、カウンターの椅子に腰掛けて彼女は八田が来るのを待っていた。
今日は他の吠舞羅のメンバーは結構集まっているのに珍しく八田だけがいない。
「彼氏作ったりとかせえへんの?可愛いんやし、モテへんわけやないやろ」
そう言って私に草薙さんが話し掛ける。
それに対して、はあ、ありがとうございます、と適当に返答すると、それに食いついてきたらしい吠舞羅のメンバーが口々に話し始める。
「確かに、全然浮ついた話聞かないよねー」
「こんな男所帯なんだから選び放題じゃないっすか」
「そう、例えば俺とか」
勇気ある一人が彼女に告白めいた言葉を告げる。
のだが、彼女には別段効果はないらしく、
「あ、ごめん、私、八田さんに全てを捧げることに決めてるから」
そう一蹴されてしまうのだ。
「チィーッス!」
「あっ、八田さん、チィーッス!」
八田の登場によって、彼女は今まで話していた彼らのことなんて眼中にもないとでもいうように、素早く走り寄る。
その様子は忠犬を彷彿とさせる。
「いつの間に八田さんとできてたんだ…」
「いや、でも、マジかよ、あの八田さんと…?」
ひそひそと物議を醸し出すメンバーを彼女が怒鳴りつける。
「アホか!私が八田さんと付き合うなんて恐れ多いことするわけないだろ!」
そのまま彼女は八田の手を取り、膝まづく。
「私は、八田さんのためなら命かけますから」
真剣な表情で八田を見つめながらそう呟く彼女を見て、鎌本は一人溜息をつくのだった。
(で、なんでこんなことになってんだ…?)
(いえ、私の八田さんへの愛をあいつらに見せつけてやろうと思いまして)
(はあ!?あ、愛って、おま、/////)
(私の忠誠心は海よりも深いんです)
(あ、ああ…(察し))
ヒロインちゃんの脳内では、八田ちゃんが姫ポジションで自分が騎士ポジションです。