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□clap
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「こんにちはー…」
鼻声であいさつしながらBAR.HOMRAへ入ると、草薙さんが、ようこそおこしやすーと言いながら不審な顔をする。
「なんや、風邪でもひいたんか」
「んー…なんか朝から鼻水止まんな、へっくし!」
我慢できずに、会話の途中でくしゃみが出てしまう。
マスクをしていなかったら危うく草薙さんを唾まみれにしてしまうところだった。
「なんか目もしょぼしょぼして痒いし、花粉症かもしれないです…」
「馬鹿は風邪ひかねえって言うしな」
「その言葉そっくりそのまま八田くんに返します」
せっかく草薙さんが心配してくださっているのに茶々を入れてくる八田くんにイラついて、つい喧嘩腰で言葉を返してしまう。
八田くんが、あ?俺のどこが馬鹿だよコラ、とか怒っているのを横目に鼻水をかむ。
かんでもかんでも出てくるんだけどなんなのこれほんと。
一触即発な私と八田くんの雰囲気を和らげようと、鎌本が話に割り込んできた。
「念のために病院行ってみた方がいいんじゃないすか?今ならまだ診察してんじゃないすかね」
時間を確認しながら優しく声をかけてくれる鎌本に感動して思わず抱き付く。
鎌本マジ女神だよ。
この柔らかいお腹と面倒見の良さ。
ほんとオカンにしたい。
「あ、ごめん鎌本鼻水付いた」
「え゛」
「鼻水も滴る良い男だね」