バスケの時間(双光独影語り)
□水底ニ沈ンダ魚〜序章〜
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一筋の光も見えない暗闇に、ボクは今捕らわれている−−−。
何かの音を聞いた気がして、ボクは目を覚ました。
そのまま上半身だけを少し起こし、枕元に置かれている目覚まし時計を見る。
「……まだこんな時間ですか…」
時計の針は、午前2時を差していた。
起きる予定の時間まではかなり余裕がある。
そう思ってもう一度眠ろうと目を閉じるが、冴えた頭は眠りにつこうとはしない。
仕方なく眠る努力を放棄し、横たわったままふと窓を見て、ボクは初めて外は雨が降っていることに気づいた。
(ああ…起きた原因はこれだったんですね)
窓に打ちつけられる滝のような雨を、どこか空虚感を抱えながらボクは見つめた。