Amygdalus persica
□ドアを開けると。
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「っは、……はぁ。…ゴホッ、ケホッ……」
嫌な夢を……。
「大丈夫か?」
と、少し汗ばんだ俺の身体を後ろからギュッと抱きしめた。
最初は嬉しかったが、途端に悲しくなる。
連勝が俺を一人の女として見てくれてないことを思い知らされるからだ。
「……ありがと。」
俺はそう言って連勝にもたれた。
やっぱり安心する。
もっとずっと、こうして居たい。
そんな思いとは裏腹にピンポーンとチャイムが鳴った。
「俺、でるわ」
と、連勝が玄関へ向かった。
何やら話し声が聞こえる。
男だ。
「奈桜ー。新しい入居者さんだから挨拶しろー。」
玄関から俺を呼ぶ連勝の声が聞こえて、走って玄関へ向かった。