庭園

□葵長官!?
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「長官が報告の途中で眠ってしまわれるからでしょう!長官が悪いんです。もう言いません。」

ツン、と顔を背けた彼女が、なぜか妙にかわいい、と思った。
いつもの私なら、絶対にそうとは思わないだろうに・・・。

机を隔てて私と紅 秀麗は向かい合っている。なんだか、私たちを隔てている机がものすごく邪魔に思えて、イラついた。・・・今日の私は、どこか、おかしい。どうも調子がくるう。

「あ、私が長官の言うこと聞かないから怒ってるんですね。でも、言いませんよ。長官が悪いんで・・・」

言い終わる前に私は彼女の前に立った。

「え、ぁ!葵長官!?」
「うるさい。黙れ・・・。」

いままで、こんな感情に突っ走ったことはなかった。気づけば、そのまま口づけていた。
「ちょうか・・・、んぅ!
なっ、なんです、今の・・・。」
「・・・そんなこともわからんくらい馬鹿なのか、お前は。」
「そ、そうではなく!そ、その・・・なんで、く、口づけ、たんですか!」
「言葉につまりすぎだ。
・・・なぜ、だろうな。」

そう言ってみてから、口の端を少しあげて笑んで見せた。・・・悪戯っぽい笑みを。

「まぁ、あるとしたら、私がお前を好いているからだろうな。よかったな。喜べ。」

そう言ってやると、彼女はカッと顔を朱に染めた。
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