絶望の海の光
□9話
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マーニャやミネアはもちろんのこと、ホフマンにもからかわれながら砂漠を進む。
(あまり大勢で歩くと魔物に見つかりやすいから、馬車の四方に俺たちがついて、ホフマンは馬車の中にいるんだけどね)
「ユーリル、魔物だわ!」
「よし、ジャンヌとマーニャは後援。行くよ、ミネア!」
砂漠といえど魔物は出るもので、先ほどから俺たちはその相手におわれている。
しかも、砂漠という状況下で確実に俺たちが不利。なにもしなくても体力が削がれていくというのに、魔物の数はそのことを分かっていない。
「ユーリル、多すぎない!?」
「これじゃ、私たちに分が悪いのは目に見えていますわ!」
マーニャとミネアの焦った声に一度は逃げることを考えながらも、必死に戦うジャンヌ。
「ジャンヌ!」
「わかってるよ、べホイミ!」
そんなジャンヌを見て、戦い抜くことを決めた。
傷つけば、ジャンヌに回復してもらえばいい。
あの時とは違って、俺には仲間がいるんだから。
前線にいる俺とミネアを回復魔法でサポートしてくれるジャンヌと、攻撃魔法を駆使するマーニャ。
後ろから俺たちに飛んでくる光と魔物に飛んでいく炎は圧倒的に勝敗を分けた。
「あと一体…!」
そして、じりじりと攻めていって敵はあと一体。
しかし、そんな魔物も俺たちの勢力に恐れをなして逃げていった。
「ふふ、やった!」
「ジャンヌ、ナイスよー!」
結果的には俺たちの勝利。
その事実にジャンヌとマーニャが喜んでハイタッチをする。
すると、マーニャが俺をちらりと見てジャンヌに何かを耳打ちした。
なんだろう、とっても嫌な予感。
そんな俺の気持ちも誰かに伝わるはずはなく、ジャンヌはこちらへやってくる。
あぁ、ほらまたマーニャのミネアがにやにやしている。(マーニャなんてものすごい笑顔だ)
「ユーリル!」
「なに?マーニャに何か言われたの?」
「お疲れ様!」
あ、なんだ。そんなもんか。
少し安心したような残念なような。
「それと…かっこよかったよ。」
どきどき。
そんな音と、
にやにや。
そんな音が聞こえた気がした。