正義のために戦え!
□5話
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「ふぅ…」
とりあえず自分の家に帰ってきた。
ゴエモンの提案により、今日はそれぞれの家に帰って明日から出発だとか。
「旅か…」
正直まだ実感はない。
大江戸城を巡ったのだって、家に帰ってしまえば、なんだか夢だったかのように思える。
随分長い一日だった。
午前中は修行をして、午後は…いろいろあった。
もう、思い出すことすら億劫になるほど疲れてしまっている。
「寝ようかな…」
荷物はまとめた。
薙刀と弓もよく磨いた。(今日は特に使ったしね。)
でも、なぜだろう。
少し不安で、少し怖い。
明日になれば、日常の全てが変わってしまうことに少し緊張しているのだろうか。
思えば、とんでもない偶然だった。
もしも、私がもう少し修行を続行していたら。
もしも、ゴエモンとエビス丸がよろず屋を追い出されていなかったら。
もしも、モモのヤツらが大江戸城を狙っていなかったら。
そうしたら私は、明日もただ修行に明け暮れていただろう。
たくさんの偶然がつながって、私とゴエモンたちは出会った。
そんなことを考えてみると、不思議と不安や恐怖は消えていた。
「明日から、頑張るぞ!」
小さく意気込んで、私は部屋のろうそくを消した。