正義のために戦え!
□1話
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「てやっ!」
今日も平和な大江戸はぐれ町。
はぐれ町とはいえ、私はそのさらにはずれでいつものように武術に励んでいた。
自分の相棒とも言える薙刀を握って、辺りの木を切っていく。
「あ、もうこんな時間か…」
ちょっと集中しすぎたみたいで、もう腹時計はお昼時を迎えていた。
そろそろなにか食べなくては。
そう思い、私は大江戸はぐれ町の
中心部へと向かって行った。
「とりあえず、家に戻らなきゃ…」
と、はぐれ町でも大きな方のよろず屋の前を通った瞬間だった。
「ざけんなてめぇら!
とっとと出ていきやがれ!
二度と来るなバッキャロー!」
そのよろず屋からお団子やら食べ物と二人の男と投げだされ、投げた店主が男二人の走る背中に罵声を浴びせていた。
男の一人はふんどししか着ていない。
その二人の男はよろず屋から少し走って、私のいるところの近くで止まった。
「エビス丸!
てめぇ、なんでいきなり裸になりやがるんでぃ!」
「このわての魅惑のダンスで、お勘定まけてもらおうと思ったんでっけど…」
江戸っ子口調のきいた気が強そうな男と、反省しているのかしていないのかわからない男。
(なんか、いろいろすごい人だなぁ…)
そういっていると、服を着ている方の男はため息をついた。
「てめぇがんなことするから、あの店追い出されちまったじゃねぇか!」
「あの人には、わての美しさが全然わかりまへんのや…」
手をぱたぱた動かし、反論するエビス丸…とか呼ばれていた人。
二人はどうやら、店内でふんどしの人が裸になり出したから追い出されたらしい。
「まったく…おめぇってやつは…」
男がもう一度ため息をついた、その時だった。
「わっ!?」
私の体は地面に崩れた。
それもそのはず。突然地面が大きく揺れだしたのだ。
「お、おい!」
「大丈夫でっか?」
近くにいた二人が、足場が揺れながらもこちらに向かって来た。
「あ、ありがとう」
「気にすんなって、
それにしてもなんでぃ!一体…」
その言葉とともに上を見上げた男が、そのまま固まってしまった。
「ほに?」
「え?」
彼の視線につられて、私ともう一人の男も視線を空へうつした。