銀の書
□すぎゆく記憶
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その日俺はいつもと変わらない放課後を過ごしていた。
珍しく気が向いたので学校へ行き、
これまた気が向いたので放課後になるまで学校にいた。
(まぁ、殆ど屋上で寝てたが。)
1つ気に食わない事があるなら、
さっき他校生に売られた喧嘩を買おうとしたら、
めんどくせー大人が騒ぎ立てやがって、
相手が尻尾巻いて逃げやがった事ぐらいだった。
(不発でイライラするってのッ!)
だから、それはたまたまの事だった。
イライラしてたから誰が相手でも変わりなかった。
ましてや人助けなんてする気もなかった。
『ちょっ、や、やめてくださいッ!』
路地裏から微かに聞こえる女の声。
「別にさぁー俺達悪いことしてないじゃん?」
「一緒に遊ぼうって誘ってるだけだって。」
「そんな顔で睨むなよー。」
女1人に男3人。
この辺のアホ校の制服を着た男に、私立の普通科のセーラー服が絡まれていた。
決して珍しい光景でもない。
夜11時を過ぎた時間にこんな所歩いてれば、たいていの女はそうなるだろう光景。
『い、嫌!痛い離してッ!』
しかし、苛立ち押さえられない俺にはやけに耳についた女声に、俺はゆっくりその路地裏に入っていった。
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